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惜別!485系ニューなのはな


交通システム工学科 3 4027 T. K



1.車両の概要

  485系ニューなのはなは、JR東日本千葉支社幕張車両センターが管轄する車両で1986年に改造された165系「なのはな」の後継者として1997年に4851000番台を改造し誕生した車両で、車体の色は名前の通り千葉県花である菜の花をモチーフにした黄色や、千葉県を包む鮮やかなブルーオーシャンをイメージした色合いである。今年8月を以って車両老朽化に伴い、引退するという運びとなった。車内は運行形態に合わせて、お座敷車(掘りごたつ式)と座席車(ボックス型シート)への変換が可能となっており万能型ジョイフルトレインといえるであろう。運行は主に団体旅行の移動手段として利用されることが多いが、長期休暇やGW期間は「果物狩り」「海水浴」「初日の出」などを目的とした快速列車として運行され、みどりの窓口などで指定席券を購入し乗車が可能であった。因みにジョイフルトレインの類となる車両は他にも高崎車両センター所属の「華」、「宴」、「リゾートやまどり」、勝田車両センター所属の「リゾートエクスプレスゆう」、長野車両センター所属の「彩」など各地に数多く存在している。



写真1 車両外観(君津にて)



写真2 お座敷車の車内



写真3 座席車の車内


2.車両形式

  ニューなのはなの車両は1号車からクロ484-5、モロ484-9、モロ485-7、モロ484-8、モロ485-6、そして6号車にクロ485-3という6両編成の構成となっている。尚、最高速度は120 km/hである。前述の通り1号車から6号車の全車両がお座敷車と座席車の変換が可能になっているが、2号車には固定式の座席車スペースがあるのが特徴である。全車両にはカラオケモニター、冷蔵ケース、履物入れを兼ね備えていて、2号車に多目的室、4号車にミーティングエリアと車販準備室、1号車、3号車、6号車に洗面所がある。お座敷運行時、靴はドア付近にビニール袋があるのでそれに入れて車内へ入る。窓付近にはハンガーがあるのも衣服の置き場に困る座敷ならではの優しさではないだろうか。



写真4 1号車(クロ484-5)

 


写真5 2号車(モロ484-9)



写真6 3号車(モロ485-7)



写真7 4号車(モロ484-8)



写真8 5号車(モロ485-6)



写真9 6号車(クロ485-3)


※写真3から写真9は全て君津駅で撮影


3.ニューなのはなを使用した臨時列車

  団体列車、繁忙期の臨時列車など数々の運用があった「ニューなのはな」であるが、ここで「ニューなのはなの活躍の証」をご紹介していきたいと思う。

 3-1 初日の出号(両国〜千倉)

   毎年元旦になると、JR東日本千葉支社の観光キャンペーンに合わせ運転され、両国駅3番線を深夜に出発、外房線を経由し太海、和田浦、千倉などの房総半島の名高い初日の出スポットへ観光客を輸送する役割を担っていた。運行時はお座敷席であるのでゆっくりと寛ぎながら目的地まで向かうことが出来るのが魅力的であった。


 3-2 お座敷犬吠・水郷・内房・外房号(新宿〜銚子・館山・安房鴨川)

   GW期間になると新宿から銚子(お座敷犬吠号・水郷号)、館山(お座敷内房号)、安房鴨川(お座敷外房号)へ「ニューなのはな」を使用した快速列車が運転されていた。近年では、勝田車両センター所属の「リゾートエクスプレスゆう」を使用していたが、5月末に「ニューなのはな」の引退が発表され7月の土日期間を中心に再び運転された。


 3-3 リゾートあわトレイン号(君津・館山〜安房鴨川・安房小湊)

   2013年より南房総の観光PRを目的として運行された列車で当初は館山〜安房鴨川間で運転されていたが、君津や勝浦まで延長運転が実施されることもあり房総の人気列車となっていった。館山〜安房鴨川間は各駅停車として運転し、一部の車両は自由席として乗車券のみで利用することが可能であった。車内のアナウンスも各駅からの観光スポットなどを紹介し、海が綺麗に見えるスポット(江見〜太海の山生橋梁)では徐行運転をするなど様々なサービスがあった。特に4号車を利用して設けられたイベントスペースでは、時期によって特産品の販売や観光パンフレットの配布などが行われた。指定席では通路を境にボックス席とお座敷席に分かれていて両方楽しめるようになっていた。車内だけでなく、館山駅では「ダッペエ」「駅長犬」などのおなじみのマスコットキャラクターが出迎えてくれたり、安房鴨川駅では名物「くじら弁当」の販売などがあったりと、各駅での温かいおもてなしもこの列車の魅力となっていた。



写真10 指定席の様子



写真11 4号車イベントスぺースの様子


4.今後

  ニューなのはながなくなってしまうのはとても残念であるが、これから注目されるのはやはりニューなのはなの「後継者」ように千葉支社が所有するジョイフルトレインが現れるのかが期待される。しかし千葉特急の減便などにより長らく特急として使用されてきたE257系が余剰となっているので、憶測ではあるが今後はこちらを使用して団体列車や各地へ快速列車を運行していくのではないかと考えられる。個人的には車内がお座敷車両であったり、観光客を引きつけるイベントなどがあったり、「乗って楽しい」をコンセプトにした千葉のニューフェイスが誕生してほしいと願っている。

まだジョイフルトレインに乗車したことがない方にも、日本各地には色々な面白い列車が運行されているので、この機会に是非乗車して頂きたいと思う。



写真12 富浦〜那古船形にて


〜ありがとう、そしてさようなら〜

 

5.参考文献

  (いずれも913日参照)

 ・ITRENI.NET 鉄道車両形式写真集

http://itreni.net/jnrkeishikipage/ec/ec485/jr485_newnanohana.html

 ・JR新型車両コレクション改訂版(交通新聞社)平成219月発行 P145P159

 ・JR東日本千葉支社

   http://www.jreast.co.jp/chiba/news/index.html

   http://www.jreast.co.jp/chiba/railinfo/train/nanohana.html

   


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