←前のページへ 次のページへ→

E2333000番台


電子工学科1年 6121番 Y.W


1. 列車概要

E233系はJR東日本の通勤・近郊形電車の今後の標準車両として、主な駆動機器等を二重に備え信頼性を高めた最新型の通勤電車である。その中でも3000番台は近郊路線向けとして国府津車両センター、小山車両センターに所属している。主な運用路線は、東海道線、宇都宮線、高崎線などである。普通車でも座席が柔らかく座り心地もよく手すりなども握りやすくなっている。また、全車両にヨーダンパが設置されポイント通過時の揺れは大幅になくなった。



写真 E2333000番台


2. 車載機器

E2333000番台は、先に落成していたE2330番台、E2331000番台と異なり日立製作所のVVVFインバータ装置が採用されている。3000番台の中でも2011年度を境にVVVFインバータ装置がSC90型からSC98型となっている。インバータはIGBT素子を使用している



図1 IGBT素子の構成


IGBTInsulated Gate Bipolar Transistor)とは絶縁バイポーラトランジスタのことであり、高速でスイッチングができGTOサイリスタにくらべて発熱も少ない。高速でスイッチングができることにより走行時のモータ等々からの音の発生を抑えることができる。ゲート電圧を変えることでON/OFFをすることができる




図2 GTOサイリスタの構成


電動機はかご型三相誘導電動機(MT75)を使っている。三相誘導電動機は三相交流を使い、回転磁界を作り電動機の軸を回転させている。三相交流とは、電圧、周期の同じ正弦波を120°づつずらし三本の線で送電する交流のことである。



3 5Hzの三相交流


三相交流は下のように、つなぐことで機能する



4 三相交流回路



そして、三相誘導電動機の回転数は次のようにあらわされる。




N:回転数 f:周波数 p:電動機の極数 s:すべり


電動機の極数とは電動機内にいくつN極とS極ができるかのことで、MT75形は4である。すべりというのは、電動機内に発生する回転磁界と実際の電動機の軸の回転数の割合である



Ns:回転磁界の回転数 [rpm]   N:電動機の回転数 [rpm]


三相誘導電動機はこのすべりを作ることでトルクを得ている。


3. インバータについて

三相誘導電動機は周波数によって回転させるので、電車の速度によって周波数を変えていく必要がある。E2333000番台は直流電車なので電車自体で三相交流を発生しなければならない。そこで使われるのがVVVFインバータ制御(Variable Voltage Variable Frequency)である。日本語では可変電圧可変周波数制御といい、上記のIGBT素子を使い周波数や電圧を変化させ三相誘導電動機を回転させている。この制御方式が確立されたのは、近年のパワーエレクトロニクスの大きな発展がある。



図5 VVVFインバータ制御の方法


図4のように三相誘導電動機を回転させたい周波数の正弦波を信号波といい、それに対応する三角波をキャリアという。キャリアと信号波を比較し図5下のようなパルス波をつくる、このパルス波は信号波と電圧は等しくIGBT素子に送ることで三相誘導電動機を目的の周波数で動かすことができる



6 インバータ音の解析結果


実際の音を分析したところ、発進後数秒にわたって約1000Hzの音が観測された。(6という数字の列)VVVFインバータ制御は信号波がある程度の周波数になるまでキャリア周波数を固定している。電車からする初めの音が一定なのはこれが理由である。信号波の周波数が上がってくると状態が変わりキャリア周波数を信号波の周波数の整数倍にする、同期モードとなる。電車からするギヤチェンジのような音はこの周波数の倍数が変化したときである。またキャリア周波数は状態によっては三角波ではなく特殊な波形になることもある。(広域3パルスモードなど)


4. 終わりに

今回、E2333000番台のVVVFインバータを詳しく分析していこうと思い入学後からいくつかの専門書を読んだが、自分の専門的な知識がなく。基本的なことがやっとわかる程度だった。さらに理解を得るためにこれからも勉強に励んでいきたい。


5. 参考文献

イ)鈴木美朗志著「たのしくできる単相インバータの製作と実験」、東京電機大学出版局、pp.38-76

ロ)深尾 正 新井芳明 監修「最新電機器入門」、実教出版、pp.103-174, pp.197-221


6. 使用したソフトウェア

WaveTone あっきー氏作成


− 22 −

←前のページへ ↑このページのトップへ↑ 次のページへ→