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京王線新5000系と中央線E233系グリーン車について


 交通システム工学科 16029番 K.O


1. 永遠のライバル京王線と中央線

 京王線は、新宿から調布、府中を経て、京王八王子・高尾山口までを結ぶ私鉄である。一方中央線(中央東線)は東京から新宿、三鷹、立川、八王子、山梨県の大月を経て塩尻までを結ぶJR東日本の路線で両者とも新宿―八王子の多摩地域をほとんど並行している。多摩地域の通勤客輸送を競い合っているのはもちろんのこと、近年ではミシュランガイドにも掲載された高尾山までの観光客に利用してもらうために、両者ともテレビCMやイベント等、様々な誘致合戦を繰り広げている。


2. 両者が出し合った新型車両

 このような誘致合戦は2016年春に大きな展開を見せた。2015年にJR東日本八王子支社は中央線にグリーン車を導入することを発表した。これに対して京王電鉄は、2016316日、京王初の有料の座席指定列車用車両の新5000系を発表した。これによって、どう通勤客や観光客を快適に輸送するかという新たな戦いが繰り広げられる。


3. 中央線普通車グリーン車両

 先に新車を発表した中央線は、今まで10両で運転されているE233系に、東海道線や横須賀線のように二階建てのグリーン車を中間に設け、12両で運転する計画を発表した。今までも中央線ではあずさやかいじなどの特急列車が走行していたが、甲府や松本等へ向かう長距離利用者向けの運用となっていて東京都内の停車駅は限られているため、通勤には使いにくかった。今回のグリーン車導入によって近、中距離の利用者の利便性向上を狙っている。車両は今までとほとんど同じ設計を用いるため車両コストがかからないが、車両数を増やすことによってホーム長の延長や信号設備の再構築などのコストがかかる。



写真 今後グリーン車導入が予定されているE2330番台


4. 京王線新5000系の導入

 JRの発表に続いて京王も新型車両の発表をした。京王線では現在も特急や準特急と優等種別の列車を運行しているが、すべての列車が追加料金なしの完全自由席であるため、夕刻ラッシュ時に席に座るためには、始発である新宿駅で長蛇の列に並び座席を確保するしか方法がない。このため、中央線のグリーン車に対抗するためには座席指定列車の導入が不可欠となった。これによって新5000系が発表された。

この車両は、座席指定列車と普通列車の2パターンでの運転が可能となっており、座席は座席指定時はクロスシート、通常利用時はロングシートに変更できる仕様になっている。

またイメージ図より、接続する都営新宿線に乗り入れるために必要な設備である前面の貫通扉、運行番号表示器があることが確認でき、都営新宿線への乗り入れも視野に入れていると考えられる。これによって夕刻ラッシュ時の通勤客や観光客の快適性の向上を狙っている。

しかし、京王線では朝ラッシュ時、調布―笹塚間にて2分間隔で運転されており、各駅の乗降時間のロスが重なり、主要駅到着前には何本もの列車が駅到着を待機している状態となっている。この状態で現行の車両よりもシート数の少ない車両をどう運用していくかがこれからの課題である。



図 現行車両と新型車両の座席配置比較


5. 永遠のライバルのこれから

京王新5000系は2018年、中央線グリーン車は2020年に運行開始予定となっており、東京オリンピック・パラリンピックによって訪れる世界各国の観光客をどう呼び入れるか、またどうすれば通勤客に日頃から使ってもらえるかが成功のカギになると思われる。これからも利便性を高めあってほしい。


参考文献

1”2018年春、当社初の座席指定列車を導入します! 京王電鉄HP

https://www.keio.co.jp/news/update/news_release/news_release2015/nr160316_zasekishiteiressha.pdf (2016/08/10閲覧)

2)“中央快速線等へのグリーン車サービスの導入について” JR東日本八王子支社HP

  https://www.jreast.co.jp/press/2014/20150203.pdf (2016/08/10閲覧)


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