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東京メトロ05B修繕工事施工車


応用情報工学科 16055番 S.S


1.最初に

東西線の車両の冷房化を目的として05系が投入されてから既に20年が経過し、一部の車両を対象に更新工事(いわゆる「B修」)が施工されている。ここでは東西線仕様と転属した千代田線支線仕様それぞれに分けて紹介する。

 

2.東西線仕様

15000系の投入により05系の第01~13編成は東西線から撤退し、外国への譲渡や千代田線支線への転属が行われた。第14編成以降は撤退させずにそのまま運用を続ける方針となり、第14~18編成(ワイドドア車)の更新工事が行われることになった。ワイドドア車唯一のVVVF制御車であった第14編成から施工され、1年に1本程度のペースで第181615編成の順で出場した。そして20167月、最後まで残っていた第17編成が深川工場へ入場し、未更新のワイドドア車は運用を終了した。第17編成は東西線最後のチョッパ制御車・菱形ダブルパンタ車であった。



写真1 更新工事が行われた第14編成


2-1.外観

前面に対しては排障器(スカート)の設置、行先表示器のフルカラー化(一部白色化)、車号表記位置の変更が行われ大きく印象が変わった。屋根周りに対しては冷房装置の大型化、パンタグラフの菱形からシングルアーム型への変更・新設・撤去などの変化があった。また、第25編成以降の05(N05)に合わせ、ブルーの帯が濃いものとなった。


2-2.機器

発車時・停車時の音が特徴的な永久磁石同期電動機(PMSM)を用いたVVVFインバータ制御となった。電源装置は冷房装置の強化として静止型インバータ装置(SIV)に変更された。運転室の機器は15000系に準ずるものとしマスコンはワンハンドル式に変更された。


2-3.内装

貫通扉・化粧板・床材などが新しいものへ交換され、客席の仕切り版は大型化された。照明は第14編成を除いてLED照明が採用された。案内装置は各ドア上に17インチ液晶が2台設置され、片方は停車駅等の案内、もう片方を広告・PRに使用している。


2-4.編成形態

一部電動車の電装解除に伴いMT比は5M5Tから4M6Tへ変更された。なお第14編成は最初から4M6Tであったが編成の組替により電動車の位置が分散された。また、それによって第14編成のみ組替の順序が異なっている。組替後の電動車の位置は第1933編成と同一である。


3.千代田線支線仕様

15000系の投入によって東西線営業を終えた05系初期車のうち、第01030613編成は3両編成へ短縮化した上で千代田線の支線へ転属し、それに合わせて修繕工事が施工された。編成番号は順に第6366編成と改められた。



写真2 転属した第65編成(元・第06編成)


3-1.外観

支線の区間にはホームドアが設置されているためか、スカートの設置は行われなかった。行先表示器は前面のみフルカラー化され、側面は塞がれた。カラーリングは千代田線のイメージカラーに合わせてグリーンの帯に変更された。ちなみに1次車に当たる第0103編成のみ前面の窓が低くなっており、他の車両と若干印象が異なる


3-2.機器

こちらはPMSMの採用はされず、03系のVVVF更新車と同じかご型誘導電動機が用いられた。制御装置や電源装置は東西線仕様と同様にVVVFインバータ制御・SIVとなっている。運転室の機器はワンマン運転・自動運転に対応したものとし、ワンハンドル式のマスコンに変更された。通常、支線では片側のドアしか使用されないため、ドア下部の黄色い注意喚起等は片側のみの設置となっている。


3-3.内装

16000系に準じたものに一新され、座席や床材は青を基調としたものになった。2駅間でのみの運用であるが、東西線仕様と同様に各ドア上に17インチ液晶が2台設置された。


3-4.編成形態

短縮化により3両編成となり、MT比は2M1Tであるが、片方の電動車の台車の軸のうち1つの軸には電動機がない。そのため編成全体で見ると軸の数が12なのに対して電動機の数は6台となり、実質的なMT比は1.5M1.5Tである。



参考文献

交友社:「鉄道ファン」2013年2月号

交通新聞社:「トラベルMOOK 東京メトロの世界」


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