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大手私鉄の支線探訪 −西武多摩川線− 交通システム工学科 2年 5037番 K.K 1. はじめに JR中央線の武蔵境から伸びる西武多摩川線。是政まで約8キロ、全駅数は6駅だけの短い路線だ。西武の路線だが、他の西武線とは繋がっておらず、孤立した路線となっている。車両は新101系4両編成で、3編成(予備1編成)を使用して武蔵境〜是政を往復している。全線単線で各停のみの運転だが、ほぼ終日にわたり12分間隔(5本/h)と支線としては高頻度運転となっている。 2. 西武多摩川線を訪ねて (1)武蔵境駅 写真1 武蔵境駅 多摩川線の起点駅、武蔵境駅。かつては地上駅だったが中央線の高架化にともなって高架化された。地上時代は中央線下り線とホームを共有していたため、改札を出ずに対面乗り換えができた。高架化された今は完全に別々の駅としてとして分離されてしまい、階段を昇り降りして一旦1階コンコースに降りなければならなくなった。1面2線となっているが、普段は片側の1線のみしか使用していない。 写真2 1階コンコースJR連絡改札 駅を出るとすぐに中央線への連絡線が分岐している。連絡線があるのは、この路線が西武の他路線と繋がっておらず、JR線を経由した車両の回送に使うためである。 写真3 武蔵境駅ホームから是政方面を望む しばらくは中央線と平行して走るが、地上への下り勾配に差し掛かるとすぐに中央線と分岐し、武蔵野の住宅地や里山の中へと進んでいく。 (2)新小金井駅 写真4 新小金井駅 最初の駅、新小金井駅。この駅は2面2線で、上下線の行き違いを行う交換駅とされ、上下線のホームは構内踏切で結ばれている。駅周辺は宅地化され、商店や銀行があるものの、ちょっと寂しい感じが漂う。改札口には簡易ICの改札機はあるものの自動改札機はなく、切符は駅員に見せて入出場する。武蔵境駅を除いた全駅この形態である。運賃表には自社路線では多摩川線の記載しか無く、武蔵境駅からのJR利用に重きを置いているのが分かる。 写真5 多摩川線の運賃表 (3)多磨駅 写真6 多磨駅 この駅も新小金井駅と同じく2面2線であるが、上下線の行き違いは早朝・深夜以外は行わない。上下線のホームは新小金井と同じく構内踏切で結ばれているが、こちらは踏切上に屋根があり、雨天時でも雨に濡れることなく移動ができる。元々は多磨墓地前駅という駅名であったが、榊原記念病院がこの地に移転することになったため、それを考慮してか墓地前の3文字を消した多磨駅に改称された。 写真7 多磨駅構内 駅前には居酒屋が軒を連ねていて、夜になると美味しい匂いが漂う。駅近辺には東京外国語大学やアメリカンスクールなどがあり、外国人利用者も多く、国際色に溢れている。 (4)白糸台駅 写真8 白糸台駅 西武多摩川線の車両基地、白糸台車両基地がある白糸台駅。元々は北多磨駅という駅名であったが、隣の多磨墓地前駅が多磨駅に改称したため、混乱防止としてこの駅を今の駅名の白糸台駅へと2001年に改称された。1面2線で上下線の行き違いを行う交換駅である。また、乗務員交代をこの駅で行っている。 写真9 白糸台車両基地 駅先で京王線と交差するが、白糸台駅至近にある京王線の武蔵野台駅と多磨霊園駅は双方ともに徒歩10分と乗り換えの利便性には欠ける。 (5)競艇場前駅 写真10 競艇場前駅 多摩川競艇場の最寄り駅であり、駅から連絡通路で繋がっている。競艇開催時の駅利用客が多いことから橋上化され、かつて2面2線で列車の行き違いができた駅だったが、今では1面1線の棒線駅化されている。使われなくなったホームは解体されることなく現存している。 写真11 廃止された2番線 (6)是政駅 写真12 是政駅 競艇場前を過ぎると西向きに方向を変え、競艇場沿いの道路に沿ってそのまま直線で是政まで走る。1kmほど走るとすぐ終点是政である。 1面1線と行き違いができない棒線駅で、終着駅としてはかなりこぢんまりとした印象を受ける。かつては主目的である多摩川の砂利輸送の拠点となった駅で、現在は駅隣接の保線基地にその面影を残している。 写真13 是政駅構内 写真14 保線基地 是政駅は府中市街に比較的近いこともあり、乗客数自体は多い。是政駅前を通る府中街道を北へ1kmほど行くと府中本町駅がある。
<参考文献> ・益井茂夫「多摩鉄道と阿部貞助」『多摩のあゆみ』No99,2000年2016年8月参照 ・「西武鉄道 各駅のご案内」 http://www.seibu-group.co.jp/railways/railway/ekimap/index.html ,2016年8月参照 |
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